2018年11月10日、有限会社 小松屋から「シャウラ三味線」が発売されました。今回は小松屋さんの本社を訪問し、「シャウラ三味線」って一体何!?という話から三味線業界の現状、小松屋さんの三味線に対する熱い想いまで、たくさんのお話を伺ってきました。
小松屋とは?
有限会社 小松屋とは、三味線の卸、製造、修理などを行なっている会社(本社:神奈川県相模原市、代表取締役:小松英雄氏)。単に一般的な三味線のみを取り扱うのではなく、新たに三味線用人工皮「リプル」を開発したり、そのリプルを張った「しゃみボーイ」「しゃみ小町」といった練習用・体験用の三味線を開発するなど、先進的な商品企画をされています。
以前、ほうがくのわ出演のコンサートにブース出展いただいたことがきっかけで、今回の訪問が実現しました。
シャウラ三味線とは?
イラストレーターの天野喜孝さんがデザインしたオリジナルキャラクター「シャウラ」が描かれた三味線です。演奏用ではなく、美術品としてホテルのロビー等に飾ってもらう観賞用に作られました。
△胴の部分にイラストが。キャラクターとマッチしたレッドカラーの糸巻きもかっこいい!(糸巻きは白、黒、赤の3種類)。長唄三味線タイプの他、胡弓サイズのものもあります。
天野喜孝さんが三味線をプロデュース!
天野喜孝さんといえば、タツノコプロダクションで「ヤッターマン」「ガッチャマン」といったヒット作のキャラクターデザインを手がけていたことで有名。独立後も、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズにも携わる等、幅広く活躍されています!
シャウラってどんなキャラクター?
「シャウラ」とはさそり座のラムダ星を意味します。天神部分は昔の女性の日本髪を、糸巻きはかんざしを表すなど、三味線という楽器はもともと女性をイメージしたものであることからインスピレーションを得た天野さん。さそり座を思わせる美しい赤いドレスを纏った女性「シャウラ」が誕生しました。女忍者、くノ一だそうですよ!
三味線の皮がキャンバスに!?
従来の三味線の皮は真っ白。ここにイラスト!?と驚く方も多いのでは。
この皮、実は小松屋さんが開発した人工皮リプルなのです。リプルは水に強く破れにくい、音の響きが良いというだけでなく、特殊な印刷でイラストや模様を自由に描けるのもポイントです!
三味線業界に対する想い
小松屋さんがこのように様々な取り組みをされているのには、三味線業界に対する熱い想いがあるから。
現在の三味線業界はたくさんの課題を抱えており、例えば腕のたつ職人が激減していたり後継者がいなかったり、演奏者も高齢化してきているという人的問題、楽器の値段やメンテナンスの大変さといった三味線をやり始めるハードルの高さ、三味線にはワシントン条約や動物愛護等で輸出規制されている材料が使用されているという楽器本体に対する問題などがあり、それらが絡み合って業界の縮小や、普及のネックに繋がったりしています。
そんな中、三味線の良さをより多くの人に知って欲しい、次の世代へ・世界へ広く伝えたいという強い想いがあったからこそ、次々とアイデアをカタチにしてこれたのではないでしょうか。特に印象的だったのが「三味線を弾く人の味方でいたい」という言葉。演奏者のことしっかりと考えられた小松屋さんの取り組みが、三味線業界を少しずつ良い方向へと導いていくではないかと思います。
シャウラ三味線、海外へ!
この記事を書いている間、小松屋さんはというと…海外へ!2018年11月16日〜18日にロンドンで開催された「HYPER JAPAN」に出展。シャウラ三味線の展示(もちろん海外初出展!)をはじめ、三味線実演、外国人の方の三味線体験など大盛況だったようです!小松屋さんの最新情報は、公式Twitterアカウントもぜひチェックしてみてください!
△仕事の様子を見学させていただきました。1枚目は糸巻きの太さを調整しているところ。2枚目は皮を張るための装置。細かい調整を何度も繰り返しながら仕上げていくワザがスゴい!
△最近はリプルの類似品が横行しているそうですが、正規品のリプルには裏にマークがついているとのこと。お間違いなく!
△こんな新しい商品も企画中!何と、自分で段ボールで作る「三味線キッズ」。子供向けに知育要素を入れ込んでおり、作るところから楽しめます。胴にはくまモンの絵が描かれていますが、自分で好きな絵を描くことも可能。世界にひとつだけのオリジナル三味線を作れますね!ワークショップを開催したら盛り上がりそう。
△お土産をいただきました。シャウラのオリジナルグッズ&ヤッターマンのポストカード(天野さんイラスト)! 小松屋さん、ありがとうございました!