おコト遊BASE! 〜聴く・触る・作る!?あらゆる角度から箏を楽しむイベント

おコト遊BASE! 〜聴く・触る・作る!?あらゆる角度から箏を楽しむイベント

2024年7月28日(日)〜29日(月)に山梨県韮崎市 韮崎市民交流センターニコリで開催されたイベント「おコト遊 BASE!」(おこと あそべーす)を開催レポートの形でご紹介したいと思います。

おコト遊BASE!ってどんなイベント?

このイベントは、主なターゲットを小学生くらいの子ども達として、箏を身近に感じ、箏の魅力を知ってもらうという目的で開催されました。
ちょうど夏休みに入った子ども達が、箏に関する体験や工作などを通して自由研究のように自由な視点で楽しみ、自然と理解や興味が深まれば…というところをコンセプトにしています。

おコト遊BASE!チラシ

主催のProject Kokinとは

「おコト遊BASE!」の主催は「Project Kokin」(プロジェクト コキン)です。

Project Kokinは、2023年に結成された団体です。
箏の演奏家、職人、楽器屋、愛好家など、箏に接する様々なメンバーで構成されているのが特徴です。
筆者である当サイト「ほうがくのわ」代表の櫻樹もメンバーとして参加しています。

箏という共通した1つの接点は持っていますが、各メンバーの業種や普段の活動、箏へのかかわり方は全く異なります。このようなメンバーが集結しているという、他にはない面白いチームで企画を進めてきました。

イベント内容

2日間かけて行われたイベントには、箏の魅力がたくさん!
箏のイベントというと”演奏を聴く”コンサート形式のものが多いですが、「おコト遊BASE!」はそれだけにとどまりません。

様々な角度から箏へアプローチしていく、各コーナーの当日の様子を紹介していきます。

甲削り体験

いきなりマニアックなコーナーからの紹介です(笑)
箏を制作する工程で、甲の部分をカンナで削るという作業があります。箏奏者でさえも普段見る機会がないこの職人作業を、実際に体験できるという超貴重な機会です。

湾曲した甲の部分を削るのは、かなり難しいものです。小学生の子どもは、カンナを触ること自体が初めてという人も多いでしょう。
教わりながらもドキドキしながらカンナを握り、恐る恐る手を動かすのはとても貴重な体験になったのではないでしょうか。

この体験で、箏を作る側の職人さんの仕事に興味を持ってくれる子がいたら、業界にとっても嬉しい話なのでは…!

箏の甲削り体験

糸締め実演

箏の糸締め実演が見学できるコーナー。
奏者が自分で弦を張るギターなどとは違い、楽器屋へ依頼して締めてもらうことがほとんどであるという点は、箏の特徴の1つかもしれません。

糸締めは力も必要で、しっかりと締めるには熟練したテクニックが必要な作業です。
そんな作業にじっと見入ってしまう来場者も多く、子どもだけでなく大人の方も釘づけになっていました。

箏の糸締め実演

箏制作に関する展示

展示コーナーでは、箏に使われているパーツや、箏を制作する際に使用する道具の展示が行われました。
カンナやノミもこんなにたくさんの種類が使い分けられているのですね…

箏の内部の彫り方である「すだれ彫り」と「綾杉彫り」を触り比べられる体験も。
職人ワザにますます興味が湧いてくるコーナーです。

また、今回は箏の”環境にやさしい”部分にスポットを当てるというテーマもあり、「箏のメンテナンス」に関する展示も行われました。
傷ついた甲を木屑で埋めて修理したり、焼き直して綺麗な見た目を取り戻したりして、長く大切に使っていける楽器だということが分かってもらえたのではないかと思います。

箏の部品や道具の展示

箏のメンテナンスに関する展示

かんなくずで花飾り作り

こちらも箏と環境がテーマのコーナー。
箏の甲をカンナで削ったときに出る”かんなくず”はこれまではそのまま捨てられていましたが、それをリサイクルできないか?ということで生まれたのが「ことの花」(コトノハ)です。

長いかんなくずをくるくると巻きながら花の形を作っていくのですが…きれいな形にするのがなかなか難しい!
そのぶん作り甲斐のある工作で、きれいに巻こうと集中して頑張っている姿が印象的でした。

かんなくずをリサイクルして作ることの花(コトノハ)

琴柱モチーフキーホルダー作り

好きな色の土台と琴柱モチーフの部品の組み合わせを選び、はめこんで作るキーホルダーの工作コーナー。
みなさん色の組み合わせにこだわっていて、時間をかけて悩まれている方も…!
帰りには、世界に一つの自分だけのキーホルダーを得意気に見せてくれる子ども達も印象的でした。

琴柱モチーフキーホルダー作り

演奏ステージ

箏のイベント、やっぱり演奏は聴きたいですよね!
もちろん演奏ステージもあり、複数の団体が箏の演奏を披露しました。

知っている曲にあわせて踊ってくれる子どももいて盛り上がる場面も!箏の音色を聴いて、身体全体で楽しんでもらえるのはなによりですね。

おコト遊BASE!演奏ステージ

筆者も1曲演奏させていただきました。

櫻樹&楓夏 地球儀 演奏

箏体験

箏の演奏を聴いていたら、自分でも弾いてみたくなりますよね。箏体験コーナーは行列ができるくらい大人気でした!

今回は生田爪と山田爪の両方を用意していたのですが、「丸い爪で弾けたから今度は四角い爪ね!」と両方を試したり、弾けるまで何度も挑戦したりと、箏を弾くのが楽しくて仕方ないような子もたくさんでした。

おコト遊BASE!箏体験

積み木やパズル

小さい子どもが自由に遊べるスペースとして、積み木やパズルのコーナーを用意。

箏は関係ないだろうって? …いえ、実は、この積み木とパズルは箏の制作で不要になった木材を使用しているものなんです。

積み木・パズル

冊子

来場者の方には、本イベントのオリジナル冊子が配られました。
箏の歴史や制作過程などが載っており、家に帰った後も読み返してイベントの楽しかったことを思い出したり、興味のある内容は何度も読んだりできるようになっています。

おコト遊BASE!オリジナル冊子

さいごに

このイベントは小さい子どもをはじめ、一家全員で参加されていた方も多く、幅広い層の方が来場されていました。
メインは子ども向けではありますが、大人の方も体験や展示などに興味津々の方もたくさんおり、いろいろな人に箏の魅力や楽しさが伝わったのではないかと思います。

余談ではありますが、このイベントのタイトル「おコト遊BASE!」は筆者が提案したもので、箏で思い切り遊べる秘密基地(Base)のようなワクワク空間が作れれば良いなぁ…という思いから発想したものでした。
実際、会場に一歩入るとどのコーナーも箏と笑顔で向き合う来場者の方で溢れていて、箏でいっぱいの特別感のある空間、大きな基地に仕上がったのではないかと思います。

今回は山梨県韮崎市での開催でしたが、このようなイベントがまたどこか別の場所でも開催でき、より多くの方に箏を楽しんでもらえたら嬉しく思います。

おコト遊BASE!会場の様子

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