本記事では2025年8月10日、岡山県倉敷市で開催された箏のイベント「おことのメロディ」「おコト遊BASE!!」の魅力に迫ります。
この2つのイベントは、同じ会場「倉敷市芸文館」のホールとホールロビーでそれぞれ開催されました。
午前中は体験中心の「おコト遊BASE!!」、午後からはコンサート「おことのメロディ」とそれに続いて「おコト遊BASE!!」が開催されるという流れでした。
筆者も、本記事用の取材を兼ねてスタッフとしてイベント支援をしてきました。
イベント全体の様子を俯瞰して、お客様の反応など当日の雰囲気をレポートでお伝えしていきます。
まずは、「おコト遊BASE!!」の様子からお伝えしていきましょう。
おコト遊BASE!!
おコト遊BASE!! …はどんな企画?
「おコト遊BASE!!」(おこと あそべーす)は、箏奏者、箏職人、箏屋、愛好家など、多様な立場から箏に関わるメンバーで構成された「Project Kokin」(プロジェクト コキン)が運営するイベント。
開催されるのは、実は今回が2回目となります。
ちなみに、前回は2024年7月に山梨県韮崎市で開催されました。
その時のレポート記事もありますので、ぜひこちらもお読みください!
さて、この「おコト遊BASE!!」ですが、小学生の子どもをメインターゲットとした体験型のイベントで、箏を身近に感じ、箏の魅力を知ってもらおうということで企画されているシリーズです。
前回は大盛況に終わりましたが、果たして倉敷の子ども達にはウケるのでしょうか…?
悪天候の中、果たして…?
倉敷を含む西日本は開催前日から大荒れの天気。
当日も朝から小雨が降っており、客足が遠のく可能性も心配しましたが……
午前の部 開場前にすでに行列が!
何組かの親子連れの方が、今か今かと開場を待っていました。
入り口が開かれると同時にたくさんのお客様が会場に。
その後も次から次へとご来場いただき、各コーナーにも行列ができ始めました。
ここからは、各コーナーにスポットを当てて紹介していきたいと思います。

やっぱり弾きたいよね!箏の演奏体験
会場に入ってすぐの場所に位置するのが、箏の演奏体験コーナーです。
やっぱり楽器なので触って音を出したいですよね!
箏爪の付け方、構え方、楽譜の読み方などを教えてもらいながら「さくらさくら」の演奏に挑戦します。
小学生未満の小さな子も興味津々で触っている様子が伺えました。
こうして箏は作られる!道具やパーツの展示
その隣に位置するのが、箏を製作するために必要な道具や箏を構成するパーツ、そしてそのパーツに加工するための素材などを展示したコーナーです。
完成した箏をいつも弾いている奏者でもなかなか見ることができない貴重な展示ですね。
来場者が特に興味を持たれていたのが、素材の「くじらの骨」「象牙」「鹿の角」。
「どの部分に使われているんですか?」などいろいろとご質問もいただきました。
箏の本体が木で作られているのは皆さん知っていると思いますが、くじらに象に鹿、動物由来の素材が使われているのはびっくりですよね。


キラリ職人技!甲削り体験・糸締め実演
甲削り体験、糸締め実演コーナーでは、箏職人さんや箏屋さんの技術をもっと身近に感じていただきます!
展示用の道具は触ることができませんでしたが、このコーナーでは箏職人の方にサポートしてもらいながら、カンナを使ってホンモノの箏の甲を削っていく体験ができます。
“プロの道具を触れる” というのは普段味わえない特別感がありますね。
子ども達は、初めてのカンナにドキドキしながら体験を楽しんでいました。

箏が出来上がる最後の工程となる箏の糸締めは、力加減などがとても難しくテクニックが必要な工程です。
そんな難しい作業を手際よく軽やかに行う様は目を奪われてしまいますね。
超人気!キーホルダー作り
琴柱をモチーフにしたデザインのキーホルダーを作れる工作体験です。
お土産として持って帰れる、そしてパーツの色を組み合わせて自分だけのオリジナルカラーで作れるということもあり、超人気!
色選びを悩んだりして、思い思いのこだわりの作品が出来上がりました。
例えば、こんな感じのキーホルダーが完成しますよ …ということで、作例をひとつご紹介しましょう。
筆者のX繋がりの方が素敵に作ってくださいました!
皆さんならどんな色を組み合わせて作りますか?
ワークショップも全部無料なの絶対おかしいですって…
キーホルダーは部品の色選べたので、福山アンバサダーの端くれのわたしはこの色にしました🤭
紫は説明しなくても分かりますよね←
そして職人さんの糸締め実演かっこよすぎて情熱大陸かと思った(?)
ENJOY KOTO LIFE… https://t.co/qzGblmqyrP pic.twitter.com/cPNGwKlxCm— むらがるちまき (@hey_chimaki) August 11, 2025
箏の花「コトノハ」作り
甲削りの際、カンナで木を削った後には大量の “かんなくず” が出ますが、これまではすぐに捨ててしまうゴミとなっていました。
しかし、これを使って何かできないか? と編み出されたのが、箏の花「コトノハ」です。
長いかんなくずを軸にくるくると巻き、接着剤で留めると、なんと花の形に!
キレイな形に仕上げるのはコツが必要でちょっと難しいのですが、すごく集中して自分だけのコトノハ作りに挑戦する姿が見られました。
箏の音ゲー!? ことの名人
「ことの名人」、こちらは前回の「おコト遊BASE!!」には無かった新コーナー。
ゲームセンターにあるような音ゲーの箏バージョン!?ということで開発されたゲームです。
これは筆者もプレイするのが初めてだったので、興味津々で体験してみることにしました。

画面上に弾く絃の番号とタイミングが映し出されるので、それにあわせて箏を弾いていきます。
間違えずにタイミングよく弾くことができれば点数が加算されていく…という、音ゲーをやったことがある方なら馴染みのあるプレイシステムですね!
仕組みとしては、琴柱1つ1つに振動センサーが付けられており、それを感知できるようになっているようです。
箏に慣れていない方にもわかりやすく、絃が色別に示されているのもいいですね。
1曲を弾き終わると、スコアが集計されランキングとともに結果発表!
上位を目指して何度も挑戦したくなります…!
自由な発想で♪ つみき・パズル
箏を製作する過程で出た端材の木を活用して作った、つみき・パズルのコーナー。
積んでみたり並べてみたり。楽しみ方は子ども達に完全におまかせ。琴柱も使って自由な発想で遊んでもらっています!
どのコーナーも子ども達…だけでなく大人もみんな楽しそうに体験などをされていたのが印象的でした。
箏に接するきっかけはさまざま。入り口もたくさんあって良いと思います。
今回、「おコト遊BASE!!」に訪れた方が、何かのきっかけでふと「箏って面白かったな…」と思い出して、箏を好きになってもらえたらとても嬉しく思います。
おことのメロディ
次はこちらのご紹介。
午後からはコンサート「おことのメロディ」の開演です。
出演者は、Kokinのメンバーとして常磐琴音さん、鈴木泉芳さん、頴川奈津子さん。
そして、ゲストの木田ゆう美さん、李ありささん、木村麻耶さん
合計6名の箏演奏家の皆さんです。
全然”普通”じゃなかった楽しいステージ!
曲目は、アニメ「この音とまれ!」オリジナル楽曲の「久遠」から始まり、宮城道雄氏の「さくら変奏曲」。そして古曲の定番「六段の調」、後半には「アニソンメドレー」など…
一応、筆者は関係者として、”曲目だけ” は事前に伺っておりました。
人気曲も聴かせたいし、古典も知ってもらいたい。最近の箏のコンサートとしては良くも悪くも無難な選曲。
そう思ってました。
だが違った。
なんと………
ステージに子ども達を上げちゃいました!!
MC:常磐琴音さんの呼びかけでステージに集まる子ども達。
そして、何が始まるかというと……
超・間近での箏の解説!

箏はどんな動物をモデルにしている?
(生田流と山田流の演奏の違いを見せて)、どこが違うでしょうか?
…とクイズ形式で解説が進み、最初はびっくりしながらステージに上がってきた子ども達も、いつの間にか箏に夢中になっている様子。
演奏を聴くだけではない、とても素敵な、”普通じゃない!” 体験型のコンサートでした。
さーて、次回の「おコト遊BASE!!」は…?
こうして大盛況で終わった倉敷でのイベント。
「おコト遊BASE!!」シリーズは今後もさまざまな場所での開催が予定されています。
次回の開催は…
おコト遊BASE‼︎ in品川
2026年2月23日(月・祝) 東京・品川にて開催予定!
そして、当団体「ほうがくのわ」とのコラボレーションが実現!?
…ということで、少々予告をさせてください。
「品川 大和楽器まつり」の中の1つとして開催予定のこちらの企画。
JR大井町駅前すぐの会場「きゅりあん」にて、この「おコト遊BASE!!」、ほうがくのわ&じょんからドットコムが運営する自由なスタイルの和楽器交流会「和楽器の宴 in品川」、そして ほうがくのわの「和楽器合奏講習会」を同時開催する予定です。
現在まだまだ企画中ですが、箏だけでなく、三味線や尺八などさまざまな和楽器に触れられるイベントになる予定ですので、ぜひ続報をチェックいただければと思います!